2024年、年始早々の能登半島地震も記憶に新しく
あの衝撃的な災害を受けて、防災への心構えを改めたという人も多いと思う。
今では防災グッズなどを紹介しているウェブサイトもすっかり多くなったが
正直、どのサイトを見ても
災害への備えと言うには、決定的に欠けているものが目立つように感じる。
私は過去2回
熊本地震、そして九州北部豪雨と
歴史に残るような大規模災害が起こったとき、被災地復旧で現地に派遣された。
その時、現地の人たちに聞いてわかった
災害時に本当に必要だったもの、用意しておけばよかったと後悔したもの
そして、私自身も現地へ持っていけばよかったと感じたものを紹介する。
災害時に必要なもの3選
避難用の室内シューズ
非常用の防災バッグを用意している人は結構多いと思う。
避難する時に必ず持ち出すものとして、取りやすいところに防災バッグを置いておく。
キホンのキ。
しかし、避難用の室内シューズを用意しているという人はかなり少数派じゃないかと思う。
実際に被災した際、自宅から避難しなければいけないレベルであった場合
家の中も相応に凄惨な状態になっていることが多い。
そこら中に割れた食器類、飛び散った窓ガラスや瓦礫が散乱していて
家の中から脱出するだけでも大変な場合がある。
実際のところ、被災地でも
ちゃんと非常時の準備を済ませていたのに、いざ震災に見舞われると
防災バッグを置いている場所まで辿り着くのに苦労したという人が結構多かった。
自宅では常に、身近なところに室内シューズを用意しておいた方がいい。
簡易的なスリッパでも構わないが、とにかく足元が悪い時に履けるものを。
就寝時は常に、枕元やベッドサイドに置いておくのが望ましい。

完璧な準備をするなら、安全靴が絶対にオススメ。
この安全靴は私も被災地入りするときに購入し、現地でもずっと履いていた。
安全靴なのに普通のスニーカーと大差ないくらい軽くて動きやすく、疲れにくかったのでオススメ。
非常用に準備しておけば、避難する時にも必ず役立つと思う。
脱出、そして救助用のバール。
繰り返しになるが、自宅からすぐに避難しなければいけないレベルの災害だった場合。
その状況下では、そもそも避難しようにも
玄関扉が変形して開かなくなってしまっている事がある。
避難しようにも家から出られないと、場合によっては本気で詰む。
もし自宅が一戸建てならば
マンションと違って、窓がたくさんあると思うので
どこかしらの窓を割って逃げることができるかもしれない。
ただ、もし自宅が鉄筋コンクリート造のマンションだったりすると少し状況が変わる。
一戸建てに比べてドアの数も窓の数も少ない。
もっと言うと窓には防犯の鉄格子が付いている場合もある。
ドアにしろ鉄格子にしろ、頑張ればこじ開けて避難することもできるとは思うが
女性や子供だと、そうはいかない場合もある。
力に自信があれば無理やり脱出できるかもしれないが、それが無理だと詰む。
バールを用意しておけば、女性や子供のような比較的非力な人でも
てこの力を使って大きな力を掛けることができるので
歪んだドアをこじ開けたり、窓についた鉄格子を破壊したり
状況次第では、救助や護身に使うこともできる。
こちらのバールも、被災地入りした時に自宅から持ち出して使っていた。
長さ60センチと短めで取り回しがしやすい上に、重量も1キロ少々とかなり軽い。
小さくて軽くて、ちゃんと使用に耐えるだけの強度があるので
数あるバールの中でも、特にオススメしている。
実際の被災地でも、開かなくなったドアをこじ開けたり鉄格子を破壊したりと
十分に活躍してくれた。
意外と盲点なのがランタン。フラッシュライトではダメ。
これはもう持っている人がほとんどだと思う。
特に防災の意識がない人でも、ライトだけは置いてあるだろう。
ただ、もし防災の用途で用意するのならば絶対にランタンでなければいけない。
フラッシュライトタイプのものを買ってしまう人が多いが、それでは半分不正解。
私もその当時はそこまで考えが至らず、被災地へはフラッシュライトを持って行った。
もちろんそれで万全だと思っていたが、結果としてフラッシュライトでは不自由する場面が数多くあった。
今では、公私共に絶対にランタンを常備するようになった。
フラッシュライトとランタン、どう違うのか
フラッシュライトとランタン。何がそんなに違うのかを考察する。
フラッシュライトは、正面を強く照らすことに特化している。
平地での使用や、広い場所での使用には便利だが
屋内で瓦礫や落下物が散乱している状況下では、正面の一部を集中して照らしても
いまいち足元や周囲が見えにくかったりする。
少し理屈っぽい話になるが
正面を強く照射するという構造上、照らした物体の影がその奥にクッキリと大きく投影されてしまう。
光が当たっている部分ははっきり見えるが、影になっている部分がほとんど見えず
見える部分と見えない部分の差が極端で、どんなに明るいライトでも意外と周囲を確認しにくかった。
周囲の視界を確保するならランタンが最高
前述のフラッシュライトと比べ
ランタンは、周囲に光を拡散する構造になっている。
ランタンから発された光が周囲を均等に照らすことによって、明るい部分と暗い部分の差が出にくくなるので
かなり暗くて物陰が多いような場所に居ても、ランタンだとかなり周囲が見えやすかった。
とくに大きな地震に見舞われた被災地では、停電が長期化する可能性は十分にあり得る。
真っ暗闇の中で何時間も過ごさなければいけないことも、場合によってはあるかもしれない。
一家に一つ、必ずランタンを置いておくことをオススメする。

上記のものはLEDランタンだが、フラッシュライト機能もついているので
使用する状況に応じた使い分けができる。かなり便利。
ポケットにもすっぽり入るほどの小型サイズなので携帯性も良く、常に持ち歩いていてもあまり邪魔にならない。
バッグなどに入れておくか、有事の際に取りやすい位置に置いておくのがオススメ。
特筆すべきはバッテリー持ち。なんとフル充電で170時間も点灯してくれるという桁違いのロングランを見せる。
実際のところ、『めちゃくちゃ明るいけどすぐに電池が切れるライト』よりも
『ほどほどの明るさでも、長時間点いてくれるライト』の方が非常時には圧倒的に便利。
大事なのは、確実に避難することと明かりの確保
災害時に必要なものをまとめたサイトは多いが
正直、そのほとんどは
『自宅から無事に避難したあとに必要になる物』ばかりを紹介している。
最も問題なのは、災害の影響でどこかに閉じ込められてしまって
いつ来るかもわからない救助を待つことになる可能性があること。
これは、そもそも避けなければいけない。
備蓄や体力が尽きるまでに、必ず救助が来るとは限らない。
まずは自宅や建物から避難することを最優先に、十分な準備をしておく必要がある。
災害はいつも突然。思いつく限りの備えをしておこう。