『家賃を払うくらいなら、買ったほうが得だ。』
『賃貸の方が何かあったら引っ越せるし、身軽でいい。』
家を買うべきか、借りるべきかという論争はもうホント飽きるほど長い期間行われている。
個人的には、それは価値観の違いなんだから
もう各々好きなようにして満足してればそれで良いじゃないかと思うのだが
どうにもこの論争というやつ、双方がなかなか譲らないものらしく
時として攻撃的で、反対意見の持ち主達・・・対岸の人々に石を投げるようなことをし始めるので、戦争のようになる時がある。
今回は、この答えが出にくい問題
持ち家か賃貸かを、どういう視点で考えれば各々の最適解に辿り着くかを論じてみたい。
極論、家を買うのが夢なら買えばいい。

投げやりな言い方に聞こえるかもしれないが、とりあえず結論を先に述べた。
家を買うのがその人の夢であって目標なら、誰がなんと言おうと買うべきだと思う。
目標や目的なんて本当に人それぞれで、そこに他人の価値観が介入する余地はない。
趣味などもそうだと思う。
他人は興味を示さないけど、個人的にはこのためになら何時間も費やせるしお金も惜しまない、というもの。
家も同じで、自分が欲しいと思うのなら他の意見を気にして諦めることはない。
なんだかんだ、趣味や目標のような
他人からは無駄に見えたとしても、自分が楽しく生きるために不可欠で特別なものは大事。
その対象がマイホームだったというだけのこと。
それを他人にとやかく言われる筋合いはない、と思う。
自由とお金が目的なら、絶対に賃貸。

ここからが本題。
とにかく何にも縛られて生きたくない、自由に豊かに生きたいという人は
間違っても、絶対に。
家を買ってはいけない。
賃貸の方がムダがなく、その時々の収入に合わせて移り住むことができる。
家を買うとなると、もちろんその時々の生活スタイルに合った家を買うと思う。
『仕事をしてるから会社の近くがいい』とか『車があるから郊外の安い土地にする』とか
『子供が多いから部屋数は多い方がいい』とか『共働きだからちょっと高級な家にしよう』とか。
しかし、あくまでも今現在の環境に合う家でしかないということを
いまいちど考慮しなければいけない。
仕事は変わるかもしれないし
安い郊外に住んでも、老後は車を運転できなくなるかもしれない。
子供だって、20年もあれば巣立っていって部屋は余るだろう。
収入だって、何かがあって変わるかもしれない。
家を買ってしまうとどうにもならないが、賃貸なら常に環境や必要に応じた家に移り住むことができる。
30年後なんて予測不可能。

家をキャッシュ一括で買える人は少ない。
だいたい30年前後のローンを組んで購入する人が多いはず。
そのローンを組むことに関しても、かなりのリスクを伴う。
5年先だってわからないのに、30年後にどんな生活をしているのか予測できるだろうか?
そんな予測できないものを前にして、向こう数十年のあいだずっとローンを払い続ける約束をして大丈夫なのかと思う。
賃貸なら、ある程度何が起きても対処できる。
不都合があれば引っ越せばいい。その時々の生活スタイルや気分に合う家に住めばいい。
庭でBBQしたければ戸建てを借りればいいし、高層階に住んでみたければマンションを借りればいい。
本当に自由で、それでいて突発的に起こる予想外のことに対する対処も容易なのが賃貸。
賃貸であれば、常に新築に住むことも可能
賃貸だからこそ贅沢な過ごし方ができる面もある。
手間はかかるが、定期的に新しい物件に移り住むことで
常に築浅の、設備が最新で綺麗な家に住み続けることができる。
持ち家だと、とうぜん年月と共に家はどんどん古くボロくなっていく。
しかし、新築当時に設定した金額でローンを支払い続ける。
両者とも同じような金額を払っていたとしても、こういう部分で自由度や快適さに差が出てくる。
もちろん、あえて築古の物件に住めば出費を抑えることもできる。
『家賃は払い捨て。家賃払うくらいなら家買った方が得』は間違い。

これは本当によく言われがちなフレーズだと思う。
しかし、判断の対象があくまでも『どちらが損か得か』であるのなら
間違いなく、賃貸の方が得。
そもそも、このフレーズを使う不動産の広告のほとんどは
月々のローン返済額のことしか比較対象に入れていないケースが多い。
不動産を所有すると、他にも高額な出費がわんさか出てくる。
【設備の故障は全て自費】VS【全て大家負担】
家を保有している場合、設備の故障による修繕費用は全て自費。
給湯器、エアコン、換気扇など
使用の頻度にもよるが、10年もあればだいたいの機械に不調がきて壊れ始める。
他にも、トイレや洗面化粧台の劣化、破損による交換なども全て自己負担。
何か問題が起こるたびに、何十万という費用がかかる。
『何かあったら管理会社や大家さんに言って直してもらおう』というスタンスで気軽に過ごせる賃貸と比べると
その精神的な負担や費用の負担の度合いは、それこそ雲泥の差。
【数年おきの大規模修繕に莫大な出費】VS【全て大家負担】
家は、買った後もあれやこれやとお金がかかる。
特に高額の出費になりがちなのが、数年おきに大きな出費となる大規模修繕。
外壁塗装や防水処理など、定期的にメンテナンスをしないと雨漏りで家が腐食したり
シロアリ駆除をしないと、家がボロボロになったりする。
保険に入っていれば賄えるが、震災や風災で損害が出た場合も手直しをしないといけない。
これらの費用は大体ウン万円からウン百万円と非常に高価格帯。
見積もりを取るまでドキドキして過ごすことになる。
賃貸ならば、大家が維持管理の出費を負担するのでぜんぶ無料。
夢や所有感を取るか、自由を取るか。

持ち家というのが、ある種の大人のステータスになっているところがある。
ある程度大人になったら家を買うものという不思議な風習があるようで、よく
『まだ家買わないの?』なんてふうに
まるで家を買うのが当たり前のように聞かれることもあるが
もし、家を保有すること自体に執着がないのであれば
その時々の身の回りの環境に適した賃貸に住み替え続けるのが
トータルの費用では安く済む傾向にあるし、起こり得る様々な事への対処も容易。
個人的には、
わざわざ将来不要になるような広さの家を買って
ローンに毎月何十万も払い続けるくらいだったら
賃貸で節約して、お金を貯めて
将来は、貯めたお金で、老後も便利に過ごせるような場所に
ちょうどいい広さの家でも買って、終の住処にするのがいいと思う。