除湿機はあくまでも贅沢品であって、生きていく上で絶対に必要なものではないが
導入することで、カビを防いで部屋をきれいに保ってくれたり
洗濯物が乾くまでの時間を大幅に短縮してくれたりと、ほぼ毎日メリットを享受できる。
特に梅雨の時期なんかは、洗濯物を乾かすのに除湿機を使うことで
同じ服を毎日着て洗っても、翌朝バッチリ乾いている。
服を最小限に抑えたいミニマリストや、仕事着が制服で毎日洗いたい人には絶対に除湿機の導入をオススメしている。
畳数や静音性だけで選んではいけない
除湿機を選ぶ上で、『静音性はどのくらい』とか『何畳用のタイプなのか』とかはしっかり選ぶ人が多いが
除湿方式まで理解した上で購入する人は、割と少数派かもしれない。
しかしここを間違ってしまうと、上手く除湿ができないどころか
場合によってはほとんど効果がない(除湿できない)可能性がある。
一括りに除湿機といっても、実は製品によって除湿の方法がそれぞれ違う。
それによって、それぞれ使用に適さないシーズンや環境がある。
どういう状況で使いたいか、あらかじめ決めておいて
間違った製品をうっかり買ってしまわないように注意してほしい。
除湿機、おおまかに3タイプ。
コンプレッサー式 | デシカント式 | ハイブリッド式 | |
除湿の方法 | 空気を冷やす | 空気を温める | 冷やす&温める |
価格 | ○ | ○ | × |
電気代 | ○ | × | △ |
静粛性 | × | ○ | △ |
得意な気候 | 暑い時期(梅雨) | 寒い時期 | オールシーズン |
特徴 | 室内温度を下げる 除湿力が高い | 室内温度を上げる 動作音が静か | これ一台で通年OK |
除湿方法はおおまかに3タイプある。
厳密には2タイプだが、迷ってどちらか選べないならこういう上位モデルもあるよ、ということでハイブリッド方式も追加して3タイプとした。
梅雨時期や夏場におすすめ。コンプレッサー式の除湿機
コンプレッサー式の除湿機。
本体内部に搭載されたコンプレッサー(圧縮機)を使って
吸い込んだ空気を圧縮して冷やして除湿を行う。
例えるなら、モワモワの蒸気を急激に冷やして水滴に変化させて回収するような感覚。
構造上、本体価格が比較的安価で電気代も安く済むことが多いため
最も手頃に導入しやすいモデルになっている。
電気屋でなぜか安いモデルがあったらだいたいコンプレッサー式。
熱気を冷やす形で除湿するので、使用直後の風呂場や脱衣所の湿気を取り除きたい時、夏場などの気温が高い時期の使用に適している。
デメリットは、コンプレッサーの動作音がどうしてもうるさいところ。
上級グレードのものを選べば騒音というほどではないかもしれないが、リビングなど生活する空間で使うには多少の音は気にしない努力が必要。
また、冷やすことで除湿を行うという性質上
元々の室温が低い(最初から空気が冷えている)状態では、効果を発揮しにくい。
冬の結露やカビ対策におすすめ。デシカント式の除湿機
デシカント式の除湿機。
本体内部に搭載されたヒーターを使って
吸い込んだ空気を温めることで除湿を行う。
例えるなら、雨水を加熱してモワモワ蒸気にして吸収するような感覚。
圧縮機を使わないので、コンプレッサー式除湿機と比べて動作音が静か。
また、必要に応じてヒーターのサイズを調整できるので比較的コンパクトな製品が多い。
空気を温める形で除湿するので、冬場の結露がひどい時や日当たりが悪い部屋のカビ対策に有効。
デメリットは、ヒーターによって室温が上昇するので夏場の使用には適さないこと。
コンプレッサー式と真逆になるが、温めることで除湿を行うという性質上
元々の室温が高い(最初から空気が温まっている)状態では、効果を発揮しにくい。
それにヒーターを使用するぶん電気代も高額になりやすいので、もしコンプレッサー式除湿機から買い替えるのなら注意が必要。
オールシーズン快適、ハイブリッド式除湿機
ハイブリッド式の除湿機。
その名の通り、コンプレッサー式とデシカント式のどちらの機構も備わっているのがこちら。
もちろん高額。
環境に応じて除湿方式を切り替えることによってオールシーズン対応できるので
これ一台あれば、通年で湿度を快適に保つことができる。
洗濯物は基本的に年中部屋干しです、という人には絶対これ。
夜遅くに洗い終わったシトシトなやつでも翌日にはバッチリ乾く。
話は逸れるが、私は洗濯物は部屋干しをオススメしている。
外に干すと気候の影響は受けるし、花粉や黄砂、汚染物質は付着するし
何より洗濯機と外との往復が毎回すごく手間。
今洗濯物を外に干しているという人は、ハイブリッド式の除湿機を買って室内干しに切り替えることを検討していいと思う。
洗濯物干すのが圧倒的に楽になるし、除湿によって部屋の快適具合も保ってくれる。
除湿機選びはカタログスペックに注意
自分がどういった条件下で除湿機を使いたいかが決まったら、いよいよ自分に合った除湿方式のモデルを選ぶことになるが
カタログ上の製品スペックにも、十分注意しなければいけない。
とりあえず安いの買って試してみよう、というのは大体失敗する。
使いたい部屋に対してパワーが足りていないモデルを買って全く除湿できなかったりして
除湿機全然良くないやんけ、ってなる。
部屋に合うやつをちゃんと買えば除湿機はめちゃくちゃ良い。
気をつけよう。
除湿能力
使いたい部屋の広さを考慮して、製品の適用畳数をしっかり確認するのはもちろんだが
この時、実際の部屋の広さよりも少し大きめのモデルを選ぶのが重要になる。
よくありがちなのが、
「8畳の部屋で使うなら、8畳対応のモデルで良いな」
というもの。
もちろん間違ってはない。これでもちゃんと使用することはできるが
製品の能力値ギリギリの部屋で使う場合、除湿機は文字通り限界までパワーを発揮し続けることになるので
全く余力がなく、ドアの開閉などによる外からの湿気の侵入の影響をモロに受ける。
その結果、湿度を下げるまでにけっこう時間がかかる。
もっと言うと、常にフルパワーで動くことになるので
電気代が高額になりやすいというデメリットがある。
エアコンを選ぶ時もそうだが、実際に使いたい部屋よりも少し広めの部屋に対応するモデルを選ぶことで
余裕のあるパワーで素早く確実に除湿し、さらに電気代も安く抑えることができる。
静音性
使う部屋によっては、除湿機の静音性も大事なポイント。
騒音値はdb(デシベル)という単位で記載されているので、目を通しておこう。
以下に騒音値の目安をまとめた。参考にしてほしい。
音の目安 | |
20db | ささやき声、木の葉がふれ合う音 |
30db | 鉛筆での執筆音 |
40db | 図書館、深夜の市内 |
50db | エアコン室外機、換気扇の動作音 |
60db | 自動車の車内、通常会話 |
70db | セミの鳴き声 |
深夜の市内と言っても、地方と都会では全然違うでしょうよ。
というツッコミはご容赦願いたい。
通常会話にしても一般人と関西のオカン(略
ひとまず除湿機を寝室などの静かな空間で使いたい場合は、40db以下のモデルを選ぶことをおすすめする。
タンク容量(見落としがち)
これは見落としがちだと思う。
除湿機のタンク容量もかなり重要なポイント。
タンク容量が少ないと、すぐに満水になってしまうのでこまめに水を捨てないといけない。
それは当たり前でしょう、というところではあるが
すぐに満水になってしまうということは、除湿機を動かしたまま外出するときなどは
『帰ってきたらタンクが一杯になって除湿運転が止まっていた』なんてこともあり得る。
夜間動かしたまま寝る時もそう。朝になったら止まっていた、とか
とくに、洗濯物を乾かすために除湿機を使いたいという人。
吸収する水分量が非常に多くなるので、タンク容量には気をつけよう。
ただ基本的に、適用畳数が大きいモデルほどタンク容量が大きくなるので
部屋に対して余裕のあるモデルを選んでおけばこちらは大丈夫だと思われる。
空気清浄機能の有無(必須ではない)
こちらは趣旨とはズレるが、可能ならば空気清浄機能の付いたモデルを選びたい。
除湿機は、どれも風を吹き出して部屋の空気を循環させながら湿気を回収する。
その際に、どうしても部屋のゴミや埃を巻き上げてしまう。
除湿機によって部屋の空気が乾燥することで、さらに汚れが飛びやすく浮きやすくもなっている。
除湿機が空気洗浄も同時にしてくれれば、部屋をかなり清潔に保てる。
部屋が清潔になるということは、掃除の手間や回数を減らせるというメリットがある。
例えば和室などのような、構造上埃が溜まりやすいところで使うならば空気清浄機能はマストと言える。
おすすめの除湿機
シャープ CV-R120
除湿方式:コンプレッサー式
空気清浄機能:無し ※プラズマクラスターによる脱臭機能有り
騒音値:25〜50db
適用面積:木造14畳、鉄筋コンクリート28畳
除湿能力:11L/日
タンク容量:4,5L
おすすめポイント:プラズマクラスターでカビ菌を抑制。衣類の消臭もOK
プラズマクラスター7000を搭載し、カビ菌の抑制や生乾き臭の防止に効果的。
部屋干し臭をしっかり抑制しながら衣類乾燥。
縦幅約190cmの広範囲ルーバーが、天井付近から下方までしっかりと風を送り届ける。
アイリスオーヤマ IJD-I50

除湿方式:デシカント式
空気清浄機能:無し
騒音値:29db
適用面積:木造6畳、鉄筋コンクリート13畳
除湿能力:5L/日
タンク容量:2,5L
おすすめポイント:首振りサーキュレーターが空気を強力循環、素早く効果的に除湿
上下左右への首振りサーキュレータが部屋中の空気を効率的に循環させることで、除湿ムラがおきにくい。
部屋の中で、場所による湿度の差が起こりにくいので
和室などのように湿気の溜まりやすい空間に非常に有効。
クローゼット内部などに送風することで、梅雨の時期などに収納している衣類の乾燥もできる。
パナソニック F-YHVX120
除湿方式:ハイブリッド式
空気清浄機能:無し ※ナノイーによる脱臭機能有り
騒音値:34〜49db
適用面積:木造11畳、鉄筋コンクリート23畳
除湿能力:11.5L/日
タンク容量:3,2L
おすすめポイント:最強のハイブリッド方式。幅広のワイド送風と独立して動くツインルーパーが最適な除湿送風を行う
通年使える最強のハイブリッド除湿機。
2つのルーパーがそれぞれ異なる動きをし、風をしっかりかき回すことで確実な素早い除湿が可能。
幅約165㎝にもなるワイド送風でさらに部屋中に風を行き渡らせる。
ちなみにナノイー搭載で、部屋干し臭などのニオイを脱臭。花粉やカビを抑制する。
ダイキン MCZ704A-T
除湿方式:コンプレッサー式 ※加湿も可能
空気清浄機能:有り(業務用レベルの強力な空気清浄)
騒音値:18〜54db
適用面積:木造10畳、鉄筋コンクリート23畳
除湿能力:9L/日
タンク容量:3L
おすすめポイント:除湿機能&加湿機能。通年で完全な湿度調節ができる。
業務用レベルの強力な空気清浄機能を有し、この一台で空間の完全な管理が可能。
お金に余裕があるならもうこれ一択。
業務用レベルの空気清浄能力もついているので、部屋がマジで綺麗になる。
ほぼ完全に無臭にしてくれるからなのか、匂いまで綺麗になったような感じがする。
・ツインストリーマ
・アクティブプラズマイオン
・TAFUフィルター(静電HEPAフィルター)
・脱臭フィルター
・抗菌加湿フィルター
・水雑菌抑制装置
空気清浄のための機能だけでもこれくらいある。もはやよくわからない。
これらが部屋8畳あたり約9分で完璧に空間清浄してくれる。
有害物質やニオイに効果を発揮するストリーマユニット、10年間効果が持続するフィルターを搭載。
まとめ
除湿機って、言ってしまえば贅沢品。
無くても良いものであることに決して変わりはない。
ただ、いちど使ってその快適さを知ってしまうと
もっと早く買っておけば良かったと思うほど、生活が激変する。
特に、
・日当たりの悪いところに住んでいて、衣類のジメジメや部屋のカビに悩まされている人
・街中に住んでいて、大気汚染の関係で外に洗濯物が干せない人
・梅雨時期の洗濯物の乾きにくさに困っている人
・部屋に精密機器を置いている人(故障が多いという人、もしかしたら湿度のせいかも)
こんな人たちには、自信を持ってオススメする。
『日当たりが悪いから、ジメジメするのが当たり前』とか
『梅雨は、洗濯物が乾かないのが当たり前』とか思って諦めているなら。
ぜんぜん当たり前ではない。諦めなくて大丈夫。
除湿機1台、これが全て解決してくれる。